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記念日の過ごし方

お空の赤ちゃんと私たちの記念日

皆さまの赤ちゃんの記念日はいつですか?

このコラムでは、赤ちゃんとのお別れを経験した皆さまのアンケート結果をもとに、「記念日の過ごし方」「月日を経るごとの記念日に対する変化」「記念日の共有」について紹介していきます。

一番の深い悲しみといわれている我が子とのお別れ。それを経験した皆さまが、お空の赤ちゃんとの記念日をどう過ごしているのか。時間の流れとともに、消えることのない事実とどう向き合って進んでいるのか。このコラムでは、赤ちゃんとのお別れを経験してきたパパやママの気持ちや温かさや強さを、少しだけ知ることができるのではないでしょうか。

ご協力いただいたアンケート

「記念日の過ごし方」
回答募集期間:2024年5月15日~6月15日
回答数   :30件

アンケートにご回答いただいた皆さま、ご協力ありがとうございました。

※類似の回答は、文章をまとめて掲載しております。表現等変えてある部分がありますことはご了承ください。

赤ちゃんの記念日

あなたにとって赤ちゃんの記念日はいつですか

赤ちゃんの記念日の過ごし方と、その時の気持ちをお聞かせください

【お誕生日】

  • いつもより豪華なご飯や妊娠中に好んで食べていたものを作ってお祝いをする。
  • お花を飾ったり、おもちゃやお菓子などのプレゼントを買ったりする。
  • 思い出の品とともに、お出かけをする。
  • 骨壷に「お誕生日おめでとう」と話しかける。

温かな気持ち

  • 命の存在を感じられて心が満たされて温かな気持ち。
  • 家族みんなでお祝いできるようになった現在(いま)に感謝して嬉しい気持ち。

辛い気持ち・複雑な気持ち

  • 生きて産みたかった。
  • 愛しい、会いたいという気持ち。
  • お祝いしたい反面、お祝いしよう!という気持ちにはなれなかった。

赤ちゃんへの言葉

  • いつもこまめにやってあげなくてごめんね。
  • パパとママにしてくれてありがとう。
  • ずっと大好きだよ。

その他

  • 赤ちゃんは今頃お空で何をしているか考える。
  • あれから○年の気持ちが大きい。時間が経つのが早く感じる。

【月命日】

  • 季節のお花を買って飾る。
  • ケーキやお菓子を買ったりおもちゃなどをプレゼントしたりする。
  • お墓参りに行く。
  • お空やお骨に向かってお話をしたり骨壺をなでたりする。
  • 愛しくて感謝する気持ち。
  • さみしい、悲しい、ごめんね、夢だったらいいのにという気持ち。
  • 見守ってくれているかな、一緒に笑っているかな、など赤ちゃんに思いをはせる気持ち。

【亡くなった日】

  • お花をいつもより多めに供える。
  • ご飯と飲み物をお供えして線香をあげる。
  • お空に行って何日か数えて悲しいけど、時間の経過に驚く。
  • 思い出して辛くなる。

【お盆・お彼岸】

  • お墓参り。
  • 迎え火や花火をしておむかえする。
  • 帰ってきてくれる日なので、おかえりって言う。
  • 子供用の提灯や電子キャンドル、動物のランプなどをつける。

赤ちゃんへの気持ち

  • お盆の最終日は気をつけて帰ってね。
  • 近くにいるのかな?戻ってきているのかな?
  • あの世で可愛がってもらってね。

ママの気持ち

  • 赤ちゃんが帰ってきていることを想像することは楽しみ。
  • 亡くなった子の魂がかえってくるんだと少し嬉しいような、でも亡くなってしまっているんだと悲しい気持ちになる。
  • 夢とかに現れてくれないかなと期待している。

【その他】

  • たまに絵本を読んだりキッズ向け番組を見せたりして過ごす。
  • 毎日夫のお弁当からおかずを取り、お供えする。
  • なるべく思い出さないために、外でリフレッシュする。

記念日を重ねていく

年月を経るごとに記念日に感じる気持ちや過ごし方に変化はありますか

どのように変化しましたか

きょうだいがいることでの変化

  • 次の子が産まれてからはまずは生きている子に向き合おうと思った。
  • 下の子が産まれたことで、見守ってくれているように思う。会いたい気持ちはずっとあるし、消えることはないが、絶望感で泣くことは減った。

赤ちゃんに対する気持ちの変化

  • 死別直後は悲しい気持ちだったけれど、今では私たち夫婦の元に来てくれたことへの感謝、短い一生を精一杯生き抜いてくれたことへの労いの気持ち。
  • どうしようもなく悲しい気持ちから、かわいいお顔を見せてくれてありがとうに変わった。
  • 以前は悲しい気持ちが大きかったが、最近はだんだん「こちらは元気でやってます」と現状を報告するような気持ちが大きくなってきている。

受け入れることでの気持ちの変化

  • 亡くなったことは受け入れた。ちゃんとお別れできたと思う。ふとした時に悲しいけれど普通の日々を過ごしている。
  • 最初は辛くなってしまっていたが、少しずつ息子の死を受け入れられるようになって、「この子とはこういう形のコミュニケーションしかできないし、私がしてあげたいことをしよう」と思うようになった。

自分の生活に関する変化

  • 今の生活を優先してる。今までは月命日を休みにしてお墓参りしていたけど、10ヶ月過ぎたあたりから、仕事のある日は前後にずらすようになった。悲しい気持ちはあまり変わらない。

時間の経過について

  • もうすぐ2年経つが、1年を迎えるまではかなり不安定だった。
  • 半年経過前までは、月命日の日に予定を入れることが怖かったけれど、今は月命日もなるべく普段通り過ごすことを意識して遂行可能な予定は入れている。
  • 年々感情の波は緩やかになってきたが、子どものいない生活に虚しさを感じるようになってきた。

記念日の共有

記念日を誰かと共有しますか

記念日について周りの反応で嬉しかったことを教えてください

パートナー・家族

  • パパは毎月必ず仕事帰りに「今日は〇〇ちゃんの日だから」と言ってお菓子を欠かさず買ってきてくれること。
  • 夫も率先してお香をあげたりおりんを鳴らしてくれること。
  • お兄ちゃんが「赤ちゃんお空で元気かな」と忘れずにいてくれること。

実両親・義両親

  • 覚えていてくれて、忘れないでいてくれていることが嬉しい。
  • お花の写真を送ると、綺麗だねと言ってくれる。
  • 毎年、お花をくれたり、お線香をあげに来てくれたりする。

友人・職場の方

  • お花やおもちゃやお菓子を貰ったこと。
  • 友人が「赤ちゃんのお誕生日教えてよ」と名前を手帳にメモしてくれたこと。
  • お別れした赤ちゃんの名前を呼んで「おめでとう」と言って、メッセージをくれたこと。
  • 「そろそろ誕生日だね」などと声をかけてもらい、家族以外に覚えていてくれている人がいて嬉しかった。

SNSで出会った人

  • Twitterの天使ママが「おめでとう」とコメントをくれてすごく嬉しかった。
  • 天使ママの方とXで記念日を共有できることは、つながりを感じられて嬉しく感じる。

記念日について周りの反応で悲しかったことを教えてください

  • 夫が何の日か忘れていると感じる時に辛くなった。
  • お誕生日の日に家族から何も連絡もなかった。悲しかったことを伝えて理解をしてもらえたが翌年も何もなくて娘を孫、姪として思っていないと感じて辛かった。
  • 家族に供養の話ばかりされてしんどかった。

あなたに出会えた大切な日に

赤ちゃんとお別れしたパパやママがどれだけ赤ちゃんのことを大切に想っているのか伝わってきました。そして、色々な気持ちを抱えながらも、事実と向き合い、しっかりと生きている強さも感じました。

我が子とのお別れを経験すると「悲嘆反応」といって、「否認」「絶望」「統制の喪失」「罪悪感」「怒り」「感情の鈍麻」「抑うつ」「身体症状(頭痛や不眠など)」が強く出るようです。特別な日や節目の日には「記念日反応」といって悲嘆が非常に表れやすいといわれています。

その感情の波を繰り返しながら、その波の振れ幅が少しずつ小さくなり、長い時間をかけて、少しずつ日常生活に適応できるようになっていくそうです。

愛しさも温かさも、悲しみも喪失感も、複雑な感情や時間の経過に伴って変わっていく感情も、大切な日に感じる様々な感情の全てを大切にしてほしい、そして焦らず、自分も大切にしながら生きていってほしい、そう感じました。

きっと赤ちゃんは、どんなママも受け入れているし、大好きなはずです。記念日のケーキに、お花に、言葉に、ママの存在に……「ありがとう」。そう言っているのではないかなと思います。

著者(取材・文=SORATOMOライター 秋空 かえで)

〈参考文献〉
小児医療機関スタッフのための子どもを亡くした家族への支援の手引き|厚生労働省令和3年度子ども・子育て支援推進調査研究事業|2022.3作成