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二人が繋いだいのち
赤ちゃんはママひとりの力だけではやってくることはできません。パパとママがいてはじめて命が誕生するのです。大切な赤ちゃんとのお別れは、ママだけでなく、パパにも関係のあること。
でも、ママとパパは違う人間。感じ方も、感じたことの表現の仕方も違います。ママの気持ちはパパには分からないし、パパの気持ちもママには分かりません。ママからしたら、なんで?と思うことも、パパにとって最大限できることだったのかもしれません。
赤ちゃんとお別れしたママとパパは、その時、どんな時間を過ごしていたのでしょうか。今振り返るとあのとき、ママはパパにどんなことを思ったり、どんなことをしてほしかったりしたのでしょうか。アンケート結果をもとに、ありのままの声をお届けします。
ご協力いただいたアンケート
「妻が夫にやってほしかったこと、やってほしくなかったこと」
回答募集期間:2024年10月31日~12月31日
回答数 :25件アンケートにご回答いただいた皆さま、ご協力ありがとうございました。
赤ちゃんとお別れしたとき、パパはどんなことをしてくれましたか?
- 仕事を休んで、今後の流れを助産師から説明を受け、火葬やお葬式の手続きや書類関係、職場への連絡など全て請け負ってくれた。それ以外の時間はずっと側に居てくれた
- 仕事を調整しながら、一緒に医師の説明を聞いてくれたり、荷物届けてくれたり、亡くなってからも私とずっと電話をしてくれた。分娩のときは仕事を休んで自宅待機をしてくれたり、沐浴がしたいと自分から言ってくれたり、とにかく入院中に全力で支えてくれた
- 可愛い骨壺や天使グッズを探したり、赤ちゃんに着せるためのお洋服やおもちゃを選んだりした。病室でお別れの準備を一緒にしてくれて、火葬まで終始一緒に過ごし、全ての時間を共有してくれた
- 自分の両親や、上の子の保育園との連絡を代わりにしてくれた。食欲がないのを分かってご飯やお菓子等色々準備してくれた。退院後も家事等全部してくれた
- 産院の病室で一緒に寝泊まりしてくれた。私が泣いていると、何も言わずそばにいてくれたり、夜中でも起きて抱きしめて慰めたりしてくれた。自分も辛いはずなのに、私に誰よりも優しくしてくれた
- 迷わず立ち会いを希望してくれた。病院でも家でも時間が許される限り、冷たくなった赤ちゃんをずっと抱っこしてくれていた
赤ちゃんとお別れしたとき、パパがしてくれたことで特に嬉しかったことを教えてください
赤ちゃんと一緒の思い出を作ってくれた
- お別れが決まった後、少しだけ家族で過ごす時間があったので、夫とお腹の子と一緒に桜を見に行きました。お別れしなければならない辛さもあったけれど、その時に我が子と向き合わないといけないと思った私の気持ちを理解してくれて、連れていってくれました。今では大切な思い出です
- 胎盤手術後で動けなかった上、私がピンと来てなかったこともあり、沐浴がしたいと言って、お風呂入れてくれたのはすごく嬉しかったです。また、分娩直後は胎盤手術の準備に入ってしまい、写真撮れるタイミングがなかった中、夫と赤ちゃんが隣部屋で待機状態になってた瞬間が数分あったようで、その間に生まれたての瞬間を写真におさめてくれてたのがナイスでした
一緒の気持ちになってくれた
- 一緒に号泣したこと。悲しくて辛い気持ちは一緒なんだと思えた。こんなに優しいお父さんがいるんだから、何の心配もなく生まれてくればよかったのにとか、こんなに悲しい思いをさせて申し訳ないとか、色んな気持ちが出て余計に泣けました
- 一緒に泣いてくれた。お別れまでにしたいことを一緒に考えてくれた
言葉をかけてくれた
- 「産んでくれてありがとう」って言ってくれた
- 私が急にメンタルダウンした時に「娘を思い出して泣いている時は娘がそばに居てくれてるんだよ」と前を向ける魔法の言葉をくれること
- 「立派な赤ちゃんだね、お腹で育ててくれてありがとう」と言ってくれたこと
全て
- 全ての対応に感謝しています。自分も辛いのに、病院とのやりとりや火葬などの手続きなど、やらないといけないことは全てパパが対応してくれました
- 自分も辛いのに支えようとしてくれた姿全て
- ずっと寄り添ってくれて、家族のためにつくしてくれたところ、全てです
ママのいないところでやってくれたこと
- 少し変形して生まれてきた赤ちゃんでしたが、その部分をパパがずっとマッサージをしてくれて元の形に近くなりました。それをあとから知って愛を感じました
- 私がいないところで、「余計なことを言ったり、同情したりしないで。若いから大丈夫とかも言わないで」と伝えてくれていた
その他
- パパ自身も辛いと思うのに、ママが一番辛いからと誰よりも私の事を心配してくれて、周囲に言われた励ましのつもりの心無い言葉に私の代わりに怒ってくれて、一番の味方でいてくれました
- 上の子の出産の時と変わらず、愛おしそうに笑顔で赤ちゃんを抱っこしていたこと。自分が精神的に辛い瞬間に何も言わず手を握ってくれたこと
- お寺の住職さんに名前の由来を丁寧に伝えてくれたこと。おかげで戒名が名前そのままになりました。住職さんに聞いた話だと凄く分かりやすく教えてくれたからこの名前以外に合う名前がないと思ったと言ってくれました
赤ちゃんとお別れしたとき、パパがしてくれたことで嬉しくなかったことを教えてください
- 赤ちゃんとの対面時に無言だったこと(面食らってしまったんだと思うけれど、ちっちゃいねとか声に出してほしかったです)
- 火葬するまでの面会で赤ちゃんに会おうとしなかった
- 旦那の気持ちや感情を言葉にして伝えてくれなかったこと(吐き出して私も不安定になり共倒れしないよう旦那なりの配慮だったようだけど)
- 泣いたりいつまでも悲しんだりしていると息子が悲しむと言ったこと
- 余裕が無く感情的になってしまうのは仕方無いのですが、親戚に言われた言葉によってパパと親戚が喧嘩になってしまったことは本望ではありませんでした
- 息子の病気についてあまり調べていなかった
赤ちゃんとお別れしたとき、パパにどんなことをしてほしかったですか?
- 火葬の後は毎日手を合わせてほしかった
- 名前を決めたかった
- 家で泣いている時、背中をさすったりそばにいたりしてほしかった。悲しいとか気持ちを話してほしかった
- 頑張ったな、ありがとうとか声をかけてほしかった
- もっと抱っこして欲しかった。ちゃんと赤ちゃんに会って欲しかった。触れ合ってほしかった
赤ちゃんとのお別れの経験で、パパとの関係性に変化はありましたか?あった方はどんな変化があったか教えてください
- 悲しい状況の中で、これだけ心強く立ち振る舞ってくれる人なんだと思えた。普段はダラダラしていてイライラしていたけど頼り甲斐を感じるきっかけになった
- 子どもを授かるということの難しさ、命の重さ、奇跡の連続で誕生するんだと改めて認識した。次の妊娠もしたいが、お互いに気が引き締まっている。より絆が強くなった気がする。お空の息子のためにも仲良くしてなきゃねと話して意地張った喧嘩が減りました
- 元々私(ママ)が子供を希望しており、パパは自分の子を育てることへの不安を強く感じていたが、この経験によって「子供が愛おしい、抱っこしたい」と、前向きになった。2人で子供が生まれたらこうしたいね、と将来の話を良くするようになった
- 悲しいから話さないのではなく何をするにも息子のことを想って話すうちに本当の家族になれたと思っています。お互いに息子のおかげだねと感謝しています
- 主人は、私が悲しんで泣いていることが多かったため、自分の辛さを話さないようにしてくれていた事をのちのち知りました。今はお互いに思っている気持ちをできるだけ話すようにしています
- よりなんでも話せる仲になったと思います。父母とも関係も良好で、娘のことも普段から話しますが、やはり同じ気持ちなのは夫だけだと思うので。とても辛い経験でしたが、夫も同じ気持ちだと思うことで、なんとか自分を保っている気がします
- ハグされると気持ちが緩んで無性に泣きたくなることがあるので、スキンシップをあまりこちらから取ることはしなくなりました
- 出産前に比べてどんな気持ちも伝え合うようになった。悲しみを我慢しないで言い合うようになった。大切な人と過ごせる毎日は当たり前じゃないと改めて実感し、思いやりを持てるようになった。絆がとても深まりました
パパがママのためにできること
みなさんのアンケート結果をもとに、パパがママのためにできることを筆者なりにまとめてみました。参考にしてみてくださいね。
- 赤ちゃんについて話したり、病気について調べたり、会って抱っこしたり、赤ちゃんとしっかり向き合い、触れ合う
- 気持ちを共有したり、優しい言葉や寄り添った言葉をかけたりする(言われて嬉しかった言葉〜パートナー・ご家族編〜はコチラ)
- 赤ちゃんとの思い出を一緒に作る
- 胎児ネームや名前を決める
- 病院に行くとき、可能なら付き合ってあげる
- ママの話を聞いて、自由に感情を吐き出させてあげる
- パパ自身も感情を吐き出す。隠さず打ちあけることで、ママも同じ気持ちだったと気付き、共感できるかもしれません
赤ちゃんを想う、ママとパパのかたち
アンケート結果にはパパの関わりの全てに感謝しているという回答がとても多くありました。一緒に涙を流してくれたり、全力でママを支えてくれたり、パパはパパなりの出来ることを精一杯やってくれたという回答が多かったように感じました。一方、もっと向き合ってほしかった、もっと考えてほしかったという回答もいくつかありました。
赤ちゃんとのお別れを経験した悲しみは、ママだけではなくパパもとても強く感じているのかもしれません。ただ、うまく言葉にできなかったり、どうしてよいか分からないから、ママに伝わらないということもあるのかもしれません。ママの気持ちはママにしか分からないし、パパの気持ちはパパにしか分からないと思います。でも、きっと、その時のその行動が、ママやパパなりの精一杯だったのかなと想像します。
また、赤ちゃんとのお別れをとおして、絆が深まったり、命について夫婦で考える機会ができたり、自分の気持ちを伝え合えるようになったりと、夫婦の関係に温かな変化があったという回答がありました。中には、その変化が辛い変化だったという回答も見られました。
冒頭にも書きましたが、赤ちゃんは一人では授かることはできません。ママもいて、パパもいるから、ママのお腹に宿ることができたのです。赤ちゃんにとって、たった一人のママとパパです。悲しみと混乱の中、精一杯のママとパパ。どんな形であれ、赤ちゃんのことを想う2人のことを、赤ちゃんもお空で想っているのではないでしょうか。
著者(取材・文=SORATOMOライター 秋空 かえで)
この記事はSORATOMO編集部が独自に調査し、編集したものです
記事の内容は2024年12月の情報で、現在と異なる場合があります
※記事内の画像や文章の転用を禁じます

SORATOMO編集部
赤ちゃんとのお別れの「その時」から「これから、ずっと」共に生きるをテーマにしたWEBメディア「SORATOMO」を運営する編集部。流産・死産・新生児死・乳児死などで赤ちゃんとお別れをしたママと周囲の方へ向けた、生きていくヒントとなる情報をお届けします。