Top 記事一覧 コラム 声に耳を傾けて、したいことを一緒に考える 〜赤ちゃんとお別れした人に寄り添う姿勢〜/未来創想様

声に耳を傾けて、したいことを一緒に考える  〜赤ちゃんとお別れした人に寄り添う姿勢〜/未来創想様

赤ちゃんとお別れしたあとの供養のこと——。
悲しみのさなかに、心が追いつかないまま決断を迫られることがあります。

しかし赤ちゃんの供養についてはあまり語られることがなく、情報がないなか不安を抱える方も多いのではないでしょうか。

今回は、ある手元供養品専門店の方にインタビューを行いました。
不安な気持ちに耳を傾け、当事者の本当にしたいことに寄り添い続けるその姿をご紹介します。

株式会社 未来創想
2000年創業、遺骨ペンダントや小さい骨壷など、手元供養のための商品専門店「手元供養の未来創想」を展開。
手元供養という概念がまだ一般的でないころ、故人を身近に感じられる手元供養品を探すためアメリカへ渡った先代社長の想いが、現在も受け継がれている。
未来創想のホームページはこちら(https://www.miraisoso.net/

Interviewee 井本美幸 様
商品の企画からデザイン、職人とのやり取り、お客様対応まで、ほぼすべての業務に携わる。
特に重視しているのは、「使う人の気持ちに合っているか」という視点。
供養の形に正解はないからこそ、ひとつひとつのお声を聞きながら、「この人にとって、これは本当に必要だろうか?」と問い続ける事が役割だと語る。

未来創想が目指すもの

手元供養という形で、大切な方を身近に感じながら暮らせるお品物を開発・販売している未来創想。
お仏壇やお墓の代わりというより、日常の中で自然に想いを向けられる“場所”や“形”をつくることを大切にしています。

「愛する人を亡くしたとき、人は生きる気力すらなくしてしまうことがあります。
悲しみを消すことはできません。
それでも、大切な人との想い出を『未来』へつなぎ、想いを形にしていく。
そのお手伝いができたら、という気持ちで続けています」

お仏壇店でも石材店でも葬儀社でもないからこそ、自分だったらこうしたいというお客様の感覚を一番大切にして、商品開発やサービスの改善に取り組んでいるそうです。

手元供養
形にとらわれず、故人のことを身近に感じ、想いを語りかけ、祈りたい。形式や宗教的な決まり事よりも、亡くなった方への想いを大切にした、自由で新しい供養の形。そんな残された家族の離れがたい想いを形にし、つなぐものが手元供養です。 未来創想ホームページより(https://www.miraisoso.net/pages/about_mirai

赤ちゃん向けのお品物

まだ赤ちゃん向けのお品物がなかったころ、小さなお骨壷を購入した方から一本の電話がありました。それは、日常の中で寄せられる多くの問い合わせとは、少し違う内容でした。
「『赤ちゃんの手元供養を家族に反対されてしまって……諦めます。返品はできますか?』と、申し訳なさそうにお電話をいただきました」
一番の当事者であるお母さんの気持ちが置き去りにされている——。どれほどの悲しみを一人で抱え込んでこられたのだろうかと、言葉を失ったと言います。
その後、SIDS(乳幼児突然死症候群)のご家族の会に参加したことをきっかけに、赤ちゃんや子どもを亡くしたお母さん、そしてご家族の多くが、気持ちの置き場を失っている現実を知りました。

「生きた時間の長さではなく、確かにここにいて、確かに愛されていた存在。それは、誰にとっても同じだと思っています。
だからこそ、赤ちゃんが確かにここにいた、そのカタチをつくりたい。
そう思ったのが、赤ちゃん向けのお品物を作り始めた原点です」

商品開発をするときは、使用する方にどんな時間を過ごしてほしいかを常に考えていると言います。

「お母さんの心が落ち着いてる時間にしてほしいですね。それが1時間でも、たとえ3分であってもいい。自分と赤ちゃんのことだけを考える時間であってほしいと思っています」

また、お客様の声を聞いたり、使っている場面を想像することで、ご要望に応えられるようなものづくりを心がけているそうです。

「骨壷を我が子のように触って抱きしめてあげたいという方もいらっしゃいます。小さいお子さんがいるご家庭では触って落としてしまうこともあるかもしれません。
ですから、骨壷の蓋はネジで閉まるようにしたり、落としても割れない真鍮製にしたりと、生活の一部として支障のないようにと考えています」

取り扱う商品の多くは刻印ができるようになっています。
しかし、小さい赤ちゃんを見送る方ならではの「まだ名前が決まってなくて、なんと刻印すればいいかわからない」というお悩みの声を聞くこともあるそうです。
「お名前でなくても、“ハートマーク”や“Baby”でもいいし、日付や体重でもいいんです。後日、落ち着いたタイミングで決めていただくこともあります」
赤ちゃんを想う気持ちのままにお母さん自身がしたいと思うようにしてほしいと、選択肢を示しながら、一緒に考えているそうです。

お客様とのコミュニケーション

お客様は大切な人を亡くした方。だからこそ、やりとりする際には心がけていることがあると言います。

「お客様のお話を聴くことを徹底しています。その中で本当にお客様自身がしたいことに気づいてもらうことが大切なことだと考えています。だから、こちらの押し付けにならないように常に細心の注意を払ってコミュニケーションをとるようにしています」

家族や近しい人ではないからこそ、気持ちを吐露できることもあるようです。
赤ちゃんを亡くして不安を抱える方に対し、せめてお品物選びの不安だけでもすぐに取り除いてあげたい。その思いから、社内で情報を共有し、購入を決めた方には迅速な対応を心がけているそうです。

創業当時、印象深い出会いがありました。
お子さまを亡くしたお母さん。遺骨の入った骨壷と離れがたく、葬儀社から提供された白い陶器の骨壷をリュックに背負って生活していたのです。
「その方から、『小さくて可愛いくてもっとカラフルな骨壷が欲しい』と連絡をいただきました。
当時は日本にそのような骨壷がなかったので、海外まで探しに行ってお届けしました。既存の枠組みになくても、その方の“会いたい”“そばにいたい”という切実な想いに応えることが私たちの原動力です」

やり取りの中でさまざまなお声をいただくと言います。そのやり取りから新たな気づきがあることも。

「商品をお届けしたあと、『今日はこの子の誕生日なので、おりんを鳴らして家族で過ごしました』と連絡をくださった方がいました。
その言葉を読んだとき、供養って特別なことじゃなくていいんだ、一緒に過ごす感覚を取り戻すことなんだ、と改めて教えられました」

一方で、「周囲との温度差があって気持ちを話せない」「泣いている自分は前に進めていないのではないか」という葛藤の声も多く届きます。

こういったさまざまな声を耳にする中で、社会全体からの無意識な押し付けにより「早く元気にならなきゃ」「前を向かなきゃ」と感じてしまっている方が多いことにやるせなさを感じると語ります。
「悲しみには、期限もゴールもありません。
それを無理に整理しなくていい。心の拠り所がもっとあっていいと思っています」

当事者へのメッセージ

最後に、読者へのメッセージをいただきました。

「あなたの気持ちを、大切にしてください。
それだけは、どうか忘れないでほしいです。

その想いを、
“そのまま置いておける場所”
“静かに話しかけられる時間”
それを持つことは、後ろ向きではありません。

悲しみがあるということは、それだけ深く、愛していた証です。
体調が万全でない中で、さまざまな心配事に向き合わなければならず、本当に大変な時間を過ごされていることと思います。

どうか、何よりもご自身の体調を大切になさってください。

手元供養には、いつまでに決めなければならないという期限はありません。
気持ちが少し落ち着いたとき、思い出したとき、自分のペースでゆっくり考えていただければと思います。

どんな選択であっても、あなたのその気持ちが大切にされる事を願っています」

著者(写真=未来想創さま提供/取材・文=SORATOMOライター 村木まゆ)


この記事はSORATOMO編集部が独自に調査し、編集したものです
記事の内容は2025年12月の情報で、現在と異なる場合があります
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